東京医労連
組織・たたかう仲間

病院は労働委員会の命令を履行せよ!

 

                      平成15年11月21日

 

 

組合攻撃の始まり

 

 松村理事が平成7年10月に常務理事に就任し、労務を担当するころから、病院は組合と協議することなく、職制を通じて職員に通知しただけで、組合員の労働条件に関する事項を一方的に決定したり、組合との団体交渉を回避したり、団体交渉に臨んでも誠実さを欠く態度をとるようになった。例えば、平成8年1月、賃金の現金支給を全廃し、銀行口座振込のみとする賃金支払方法の変更について、組合と事前協議を行わなかったことを病院に抗議したが、病院は事後にも協議を行わなかった。就業規則の改定が必要となる、タイムレコーダーの新規導入も、病院は組合と協議することなく開始した。病院は職員給食の食費値上げを、組合に協議することなく実施しようとしたが、組合が団体交渉で激しく抗議したところ、病院は実施を延期し、その延期の通知も職制を通して行われた。

 

初任給切り下げ一方的に行う

 

 このような中で、平成11年2月26日に、病院は3月1日以降の新規採用者に摘要する減額された初任給表を提示してきました。基本給の減額は准看護師で43980円で、看護補助者は58100円で、大幅に減額されていました。組合は、労使慣例からみても、労働基準法にてらしても不当であり撤回を要求し、労働条件の不利益変更であるから速やかな団体交渉を開催することを要求する抗議文を提出した。その後、団体交渉は行われたが、病院は、病院経営を取り巻く環境から判断して、人件費比率の圧縮は急務であること、病院の初任給は他病院と比較して高いこと、初任給は、新規採用者と病院との労働契約で確定するものであって、このことについて組合との特別な協約も存在しないこと、初任給引き下げは現職員に影響を与えないことなど説明された。初任給引き下げによる経営改善の効果や、他病院の初任給の状況などについて資料を提示したり、数値を挙げるなどして具体的に説明することはなかった。また、松村理事は労働委員会の審問において、この団体交渉に臨むにあたり、団体交渉の結果にかかわらず、初任給引き下げを見直すことは全く考えていなかった旨を明らかにしている。その後の団体交渉で病院は従来の主張を繰り返したために議論は平行線で終わり、不当労働行為として救済を申し立てたことで、病院は初任給引き下げの問題は労働委員会の判断に委ねるとの立場をとったため、なんら議論は行われなかった。

 

初任給の決め方

 

病院は、昭和61年度の春闘妥結直後の事務折衝において、新年度の初任給は基本的に前年度の初任給額に当年度のベースアップ分金額を加算するものとし、それを初任給表にして明示し組合の確認を得ることを約したのである。8年度から10年度にかけての初任給引き上げの凍結についても、病院の要請に応じて了承した上で実施された。また、病院では新規採用者の多くが組合員になっている実態がある。職員の賃金は初任給額を唯一の基礎として毎年度の定期昇格、ベースアップが重ねられて決定されるのであるから、初任給引き下げは、組合員の賃金水準に大きな影響を及ぼすものである。

 

組合嫌悪・組合排除

 

労使関係は松村理事の就任以降大きく変化し、病院は春闘などの賃金交渉以外は組合からの団体交渉申し入れを受け付けず、組合との関わりを極力回避し、相手にしないという姿勢を明確にしていたと認められる。病院は、初任給引き下げは、在職者の賃金を維持しつつ、経営状況の改善のために人件費の抑制を図る措置であると主張している。初任給に関する事項は病院の専権事項であるとの主張を根拠に、全く譲歩の意思なく組合との団体交渉に臨み、所期の目的を達成しようとしている。以上のような一連の病院の行動から、その一貫した組合嫌悪及び組合排除の意思が認められる。

 

 

 

 

 

不当労働行為認定される

 

病院は、在職者に対して定期昇給とベースアップを実施続けている。これは病院の主張するように在職者の利益を考慮した措置であると見ることもできなくはないが、在職者の賃金を全く是正することなく、限られた数の新規採用者の初任給のみ引き下げるのでは、病院が主張するような合理的な経営改善につながるとは考えられない。病院の初任給額は、職員の賃金決定における唯一の基礎であり、新規採用の職員の賃金を直接的かつ決定的に左右するものである。病院が組合に協議することなく初任給引き下げを行ったことは、かねてから組合を嫌悪していた病院が、職員賃金の基礎的水準の決定から組合を排除して、職員賃金に対する組合の影響力を減殺し、もって組合の弱体化を図る意図に基づいてなされたと解するのが相当であるから、支配介入に該当する。

 

病院は速やかに命令を履行せよ

 

 以上の判断で命令が交付されたのであり、病院は速やかに命令を履行しなければなりません。なお、病院は、今回の命令を不服として中央労働委員会に再審査を申立しました。再審査申立がおこなわれてもこの命令の効力は停止されることなく、これを履行しなければなりません。履行されないときは労働委員会規則の規定に基づいて履行勧告がおこなわれます。従って、病院は命令を法律的にも履行しなければならないのです。この問題を解決するためにはあなたが組合に入ることが必要なのです。組合に入らないことは今の賃金で納得していると病院は考えています。今からでも遅くはありません。数は力なのです。共に団結してたたかおうではありませんか。ぜひ、組合に入会を!

 

東京医労連

 

根岸病院労働組合