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賃金・労働条件

04年春闘

労働者の賃金・雇用・生活状態と春闘(04年1月)

 

(1) 今年度の流行語大賞に「年収300万円」(森永卓郎氏著作)がノミネートされました。国税庁の「民間給与実態」によると、年収300万円以下の低所得者層は3人に1人以上の34.4%にもなっています。一方、各世帯ごとの実態は、総務庁の家計調査でみると勤労世帯の収入は97年以後5年連続減少を続け、5年間で6万円近く減少して1世帯あたり月53万円。収入の低下は支出を切り詰める以外になく、加えて貯蓄を切りくずして生活している状態が顕著にあらわれています。なかでも2割以上の世帯で貯蓄ができない実態にあります。また、借入金も4割の世帯で平均1247万円。借金のある世帯は減少し、金額はあまり変わりません。しかし、住宅ローンなどの返済未納となると金額、件数ともうなぎのほりです。

(2) 雇用はどうか。「過去最悪の失業率、進行する雇用の不安定化」ということです。02年度の完全失業者は5.4%、完全失業者は359万人と過去最高。長期失業者やリストラで失業となった労働者が増えていることも大きな特徴です。リストラなどで失業した労働者を「非自発的失業者」と呼ぶそうですが、この失業者は過去3年間に年間100万人だったものが151万人に急増しました。木々陽の身勝手なリストラ・人減らしは、03年3月期でみると電気機器が4万人、日本電気、日立、富士通、東芝など7000人から5000人労働者を減らしています。失業中の生活はきびしく、完全失業者の2割たらずが雇用保険給付を受けているにすぎず、半数近く172万人が「収入なし」状態にあります。しかも、世帯主でありながら失業給付のもらえない労働者が24万人に達しています。

(3) 日経連がグローバル化に対応するとして21世紀戦略・「新時代の日本的経営」を提起してから8年。総人件費削減の成果主義賃金制度が民間だけでなく公務員にも導入されようとしています。日経連の経営戦略は、総人件費削減・経営効率化による企業競争力の強化を課題としていました。そのため年功賃金・終身雇用賃金制度は、世界一高い賃金による稿コストを生み、国際競争力を弱めてきたとして、かわって賃金は、労働者の能力と成果を査定して個別にきめるべきものとしました。したがってベア要求による賃上げはもちろん、定昇もカットすべきものとされました。努力すれば報われるの宣伝とともに成果主義賃金を大企業を先導に導入してきました。

(4) 年功・終身雇用賃金制度を破壊し、人員削減のための成果主義賃金制度は、同時にパートや臨時、契約社員などの不安定労働者の大量創出とあわせてすすめられました。賃金の相対的に高い正規労働者や中高年労働者をリストラし、低賃金でいつでも整理できる不安定雇用労働者におきかえてきました。リストラで正規労働者が減少しているのに反比例して臨時・パート・派遣労働者・契約・登録社員など多様な低賃金不安定雇用労働者が大幅に増えています。さらに、請負や製造委託、アウトソーシング・外注化で低単価による低賃金労働者を利用して利益を上げる企業が増加しています。


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