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03秋闘速報

テキスト ボックス:  日本医労連は、11月18日、「国立病院職員の雇用を守れ!安全・安心の医療・福祉を」をスローガンに20日までの座り込み行動、中央行動の第1日目に突入。この行動には全医労・医労連・全労連などから約300名を越える仲間が参加。初日は、11時からの座り込み行動をはじめ、看護メッセージ・賃金職員問題での記者発表、4つの部局にわたっての政府交渉などが取り組まれました。この速報では、政府交渉の内容について、詳報します。

 

 

 

2003年11月19日医労連対政府交渉詳細

 

厚労省医政局交渉(看護師増員・医療事故対策、看護制度問題など)

■看護現場に見合った大幅増員、配置基準の引上げを!!

 医政局交渉では、看護職員の大幅増員と人員配置基準の引き上げの要求に対して、『医療の高度化や在院日数の短縮などを含めて、より手厚い看護体制を考慮し需給計画を算定している。配置基準は医療法により最低基準を規定しているが、より高い看護基準は各施設において対応されるべき』『処遇改善は確保法・基本指針に基づいて条件整備に努めている。就労調査は委託業者の作業が遅れているため、公表には至っていない』、事故防止では、『事故防止の第三者機関の設置の方針を固め、平成16年度の概算要求で1億5千万円を要求しており、その機関としては、(財)医療機能評価機構を予定している。国として輸液ポンプ等に対する事故防止対策の通知や、すべての医療用具の添付文書に耐用年数などを記載するよう指導などを行い努力している』などと回答。交渉団は、「2対1を上限としている根拠は何か」「2対1では、現場の過酷な実態に対応できないし、やりたい看護ができない」などと追及し、ダブルチェックするにも人がいない現状などを訴えました。

 事故の問題で、『数だけの問題だけではない』との看護課の発言に、交渉団は騒然となり、「メッセージにも表れた現場の過酷な実態を知らないのか」「数が少なすぎる現状を放置して言うべき答弁ではない」と発言の撤回を要求。看護課は『不適切な発言として伝わった。立場は違っても、同じ思いだと思っている』と訂正。交渉団は、実態も出しつつ、通達だけでは改善できないことや診療報酬での減算措置などの改善を求めました。

 2年課程通信制の問題では、10月16日の交渉で次回回答を約束していた、厚労省としての准看護師の意向調査や各県の学校開設の動きの把握≠ノついて、『全国調査はまだ行っていないが、全国の状況をことあるごとに聞き、把握に努めている。平成17年度には暫時開講の希望が出ている。各都道府県に何校あるか調べており、各県でも調査を自主的に行っている』と前回の養成所任せの態度からは改善が見られました。交渉団は、独自に養成所を設置できない県への対処などを強く求めるとともに、国立病院の学校の閉校などの動きとあわせて、国が率先して養成所を作るよう要請し、当局は国立病院部と相談すると答弁しました。「病院見学実習の扱いをもっと弾力的に」との要請には『本来の病院見学実習の目的からは困難。35日まとめてということではなく、養成所に工夫を要請している。有給休暇を超える日数になるが、医療機関の協力を求めるなどしていきたい』と答弁しました。県の状況や実態を出しながら、より受講しやすい内容への改善を求め、引き続き交渉を約束し終了しました。

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保健局・老健局交渉(診療報酬・介護報酬問題など)

■安全のコスト、人的保障のための診療報酬上の評価を!

 保健局・老健局交渉では、「1対1」「1.5対1」看護の新設、外来看護などの診療報酬上の評価の要求に対して、厚労省は、医療法の基準を満たしていることを『適正配置』と強弁。交渉団は、「医療現場では、医療法の基準を上回る配置をしている。安全性の確保のためには、人的保障がどうしても必要である」と強く訴えました。

 院内感染や医療事故を防止するため、減算方式を撤回し安全な医療を実現する財政的保障を行なうこと、との要求について、交渉団は、「安全のコストをいくらくらい考えているのか」と追及したところ、厚労省は『中医協で議論中、医療の質を担保してもらいたい。コスト調査を平成16年以降やることにしている』と答弁。交渉団からは、「減算しておいて、今からコスト調査など、本末転倒だ」と怒りの声が上がりました。「民間の中小病院では経済的にリスクマネージャーなど置けない状況だ」「病院内では今転倒事故が多発している。安全のための人手が置けない」などの発言が相次ぎ、「皆さんの中で夜勤現場を見たことはあるのか、ある人は手を挙げて下さい」との質問には、厚労省からは誰も手が上がることはありませんでした。

 包括評価、特定療養費の拡大を行なわないこと、の要求について、医労連が、「病院給食の委託の費用はどれくらいかかると考えているのか」と質したのに対し、厚労省は、『委託の是非は考えていない』と発言。また『コスト調査の中身は平成16年に実施する。診療報酬問題調査は4つあり内容を検討している』としましたが、交渉団は、「人件費を今まで調査してこなかったのはおかしい」と追及しました。

 高齢者の医療費自己負担を引き下げよ、との要求について、「直近の還付状況はどうなっているのか。調査結果を示せ」との追及に、厚労省は、『重要な検討課題と考えている。調査は必要と考えている』と答弁しました。

 また、株式会社の医療への参入については医労連から「前回の交渉では断固反対と言っていたが」と質したところ、『閣議決定があり「特区」の中で進められている。状況を見ながら検討する』と答弁、交渉団は、「厚生労働省の姿勢は後退した。撤回せよ」と詰め寄り、厚労省は、『慎重に検討する』と回答しました。

 介護報酬を引き上げ、ヘルパーなどの雇用・増員を図れ、との要求について、交渉団が、「介護報酬に占めるヘルパーの人件費の根拠を示せ」と問い質したのに対し、厚労省側は、根拠を示すことはできませんでした。

 

 

 

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健康局・国立病院部交渉(国公立・公的病院統廃合問題など)

■賃金職員で10数年、解雇か、採用されても月17万円の賃金が半分に、こんなことが許されますか!!

 健康局・国立病院部交渉では、まず最初に、全医労から参加した賃金職員として10数年勤務している仲間2名が、「現在でも同じ仕事をしているのに賃金職員というだけで処遇で差別を受け、また今回、解雇されるか採用されたとしても大幅な賃金ダウンとなる、私たちのことをどう考えているのか」「今回の通告を受け職場の仲間は泣いていた。職場の人間関係も最悪となっている」「就職窓口を設けると言っているが求人票を示されただけ。厚労省のやり方は冷酷だ」と怒りを込めて、訴えました。これに対し厚労省は下をむいたまま何ら回答できず、今後全医労との話し合いを行って行きたいと述べるにとどまりました。

 続いて、社会保険都南病院5名の不採用問題について追及。交渉団は、「社会保険庁の突然の方針変更がなければ全員が北社会保険病院の職員になったのであり、保険庁の責任において5名の雇用を保障すべきである」と発言。これにたいし保険庁は、『保険庁として努力してきた』と述べるのみで、「引き続き雇用確保に努力を」という要求に応じませんでした。また社会保険病院の統廃合についても、黒字にすることだけがその目標であり地域にとって必要な施設であるかどうかは二の次であるかのような姿勢に終始しました。労災病院の統廃合問題についても閣議決定された基本方針にもとづき再編計画を今年度中に発表すると従前からの方針を述べるだけでした。

 さらに、地方において医師不足のため施設そのものが存亡の危機にあるという実態を述べ、厚労省の対策を質したのに対し、『研修医の賃金について改善するとともに、へき地医療対策にも20億円の財政措置を講じている』と回答しましたが、参加者からは地域の実情もっとリアルにつかみ抜本的な対策を講じなければ地域の医療は崩壊してしまうことを強く訴えました。

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労働基準局・年金局交渉(派遣労働、労基法違反問題など)

■チーム医療≠破壊する派遣解禁を中止せよ!

 労基局交渉では、冒頭、末永副委員長より、国立病院・賃金職員問題での抗議が行われるとともに、医師・看護婦等の派遣解禁に反対する団体署名(第2次分、342団体)が前川副委員長より提出されました。

 日本医労連は、医師・看護師等の医療機関への派遣解禁問題について、「チーム医療」の観点から問題点を追及しました。これに対して、厚生労働省は『紹介派遣なら雇用・安全面からも問題がない。紹介派遣ならば、パート職員を雇用するのと大差ない』との答弁に終始、また、福祉施設への派遣につても、『問題はない』として、現在行われている福祉分野への派遣を撤回する意志がないことを強調しました。参加者からは、「医療職場に派遣はなじまない」「賃金などの労働条件や雇用形態などの違う労働者が同じ職場にいることになり、気持ちの上でも“チーム医療”は難しい」「業務の上でも精神的にも正職員の負担が大きくなる」など、すでに導入されている医事部門の派遣の実態が強調されました。「宿日直」問題では、「増員の必要性」が双方の認識として一致したものの、対策については、『検討中』との答弁に止まりました。また時間外労働の不払い問題や、労基法違反の多い医療分野に特別の対応を求めたことに対して、厚生労働省は、『努力したい』『指導を強めたい』とのスタンスを示しました。年金問題では、発表された「案」に対する批判が集中するとともに、3分の1から2分の1への国庫負担増に対する厚生労働省の姿勢を貫くよう強く要請しました。



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